第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「マイン先生は、事の重大さが、よくわかっていないようですね。俺がしたことは、いわゆるハッキングです。これは犯罪に値します。もちろん、テスト問題を盗む行為も犯罪ではありますが、それは単に一ファイルを取り出そうとしたという事に留まります。ですが、学園の機密事項に侵入したとなると、そんな次元ではない、ケタ違いの重罪となります」
重罪―――!?
その言葉の重みに、息を呑む。
昨日のアルバートとユーリの言葉が思い出される―――。
『それは、ハッカーと言って、れっきとした犯罪です』
『下手したら刑務所行きだよ?』
ハッキングは、刑務所行きになるくらいの重罪行為。
本当だったら、停学くらいでは済まなかったってわけで………。
それって、つまり、生徒を犯罪者にしてしまう寸前だったってこと!?
「マイン先生は、何をどこまで知っているのですか」
「えっと、私?」
急に話をふられて、焦る。すべてを話すつもりでここに来た。だけど、本当に話していいのだろうか?
次に何かあったら、間違いなく退学にされるだろうことは、目に見えている。
優しい笑顔を浮かべつつ、脅しをかけてきたアーサーの鋭い眼差しを思い出す。
『君が誰かに話したら、リアリン学園長のオトモダチも同じ目に遭わせる。忘れないで』
そう、あれは、脅しなんかではない。彼は本気だ。そして、今回の停学は『警告』だ。
巻き込んではいけない―――。