第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
しっかり確認して進む。
ほどなくして、312号室、アルバートの部屋の前に到着した。
スゥッと軽く息を吸って―――。
コン、コン。
小さくノックをしてみる。
「………はい。どなたですか」
少し遅れて、くぐもった声で返事が返ってきた。
「あ、私。マインです」
「………なっ!?」
驚いた様子が、ドアの反対側からでも伺える。
ガタガタッと大きな音をさせたかと思うと、ガチャリとドアが開いた。
「なっ、なぜ、あなたがここに?どうやって入って来たのですか?」
慌てふためいた表情のアルバートが、私の顔を覗き込む。
「これ。カインに借りたの」
『モモ』のIDカードを目の前にかざす。
「ノアが作ったフリーパスのIDカードなんだって。すごいよね、ノアって天才だよね」
「………俺が聞いているのは、そういうことではなくて。何しに来たのですか」
アルバートは、怪訝な顔つきでメガネをクイと押しあげた。
それから、辺りをキョロキョロと見回す。
「男の部屋に女性を招くなどと本来なら、してはいけないことですが………仕方ありません。とりあえず中へ」
「え?」
そう言われて、戸惑う。
そうだ、考えてなかった。いくら宿舎といえど、男の人の部屋に入るなんて………ちょっとマズイよね!?
って、いやいや、考え過ぎだよっ。そういうんじゃないんだから、全然!