第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
~男子宿舎~
学園を出てすぐの正面に、大きな建物がそびえ立っている。いつもながら、その豪華な佇まいは圧巻だ。
ここ、男子宿舎。女子宿舎をこじんまりとした洋館とするなら、こちらは大型高級ホテルといったところだ。男子の人数の方が圧倒的に多いから広いのは納得だけど、これが学園の宿舎とは贅沢すぎる!
重厚な自動扉が開くと、明るい吹き抜けのエントランスが現れる。
左右には、両手で抱えきれないであろう大きさの花瓶に、オレンジや黄色の秋を深めた色合いがメインの花々が優雅に生けられている。
女子宿舎にも、かわいらしくアレンジされた花が随所に飾られているけど………これはすごい。スケールが違う。掃除も行き届いていてどこもかしこもピカピカだ。
コツ、と小さな靴音をさせて歩いていく。
更にその先、ガラス扉の右手横に『モモ』のIDカードをかざすと、ウィンッと微かな音と共に目の前の扉が左右に開く。
ゆっくりと中へと進んでいくと、二基のエレベーターに突きあたる。エレベーターまでついてるんだね。
アルバートの部屋のある三階のボタンを押すと、静かにエレベーターは動き出し、やがて止まる。
降りてすぐの目線の高さに、部屋番号の案内図が飛び込んでくる。
ええと、312号室は………左側の一番端か。