第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「はぁ?お前、ほんっとにバカだろ?なんで、俺が女子宿舎なんかに忍び込まなきゃいけねんだよ!仕事で前もって遅くなるってわかってる日は、これで出入りしてんだよ。門限一分でも遅れりゃうるせえし、事前申請出すの面倒くせえからな」
「仕事?」
「カインはね、モデルなんだー」
その答えに、あまりの驚きと興奮で、目を丸くする。
「モデル!?え、嘘っ、全然知らなかった!いつから?何の雑誌?表紙とかなったりしてるの!?」
「………うるせえ。チッ、余計なこと言った」
カインがしかめ面をして、そっぽを向く。
そうか、モデルかあ。
確かにスタイルいいし、整った顔してるし………でも、そんなこと知らなかった。私が疎いだけ?
キンコンカンコン~ ♪
唐突に、チャイムが廊下に響き渡る。
「マインー、2時間目始まるよ」
「いけない!急がなきゃっ」
モデルの話、もっと聞きたかったな。
………いや、それどころじゃない!
「マイン、おい、待て」
「ん?」
カインに呼び止められて、もう一度振り向くと―――。
「わ、何?」
紙袋が宙を舞っていて、慌ててそれをキャッチする。
―――セーフ!
「それ、昼飯。アルバートに持ってってやれ」
両手に持った紙袋の中身は、柔らかそうだ。サンドイッチかな。
しっかりと抱え直して、次の授業の教室へと足早に向かった。