第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
知ってると言うほどでもないけど………でも、アルバートと話したいとは思う。こうなったのは、確実に私のせいだから。
でも、だからといってこんな偽造IDを使ってまで………。
ためらいながらも差し出されたIDカードを受け取る。
目の前のカインとノアをじっと見つめる。二人共、明るく振舞っているものの、アルバートが心配なのか、不安な思いを抱えているのが、その表情から見て取れた。
「わかった。4時間目が空きだから、その時に行って来る。でも、こんなIDカードどこから入手したの?」
「作ったんだ」
「作った?誰が?」
「んー、だから、俺が」
「………っ、ノアが!?」
この学園のセキュリティがしっかりしてるのは誰もが知るところだ。そのセキュリティをかいくぐる代物を作ってしまうなんて………やっぱり天才だ。
「で?これ、カインのなんだよね?カインは、これ使って女子宿舎に夜な夜な忍び込んでるってこと?」
生徒総会の時は、宿舎間の出入り自由をあんなに反対してたのにね。
―――彼女でも、できたのかな?