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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




~そして、ピアノレッスン~





久しぶりのピアノ室。

入るまで、少しためらったけど。

ポーン………。

人差し指で軽く鍵盤を押すと、静かな部屋によく響く。

ピアノの前に座るとふうっと息を吐いて………静かに、ゆっくりとピアノを弾き始める。



最初は、力強く、自信に溢れ、恐れを知らず………何をもよせつけない、旋律。

寂しさも悲しみも、どこかに置いてきたかのような、無機質な冷たい調べ。

ずっと、このまま続くのだろうかと思うほどに、繰り返される。

自由で、気ままで。

失くすものなどない、だから、強くなれる。

強くありたい―――。

いつのまにか、その強さは本物となり、傲慢で、おごり高ぶり………。



1人で生きていく事に、なんのためらいも持たなくなった―――。



そして。

曲調が変わる。

なんだろう―――。

例えるなら、それは、花畑で。

たった一輪の綺麗な花を見つけたかのような、嬉しさと驚き。

そして………戸惑い。

触れてみようと近づいてみたり、けれど、触れてはいけないと思い直して離れてみたり。

心躍るのに、そんな思いをひたすらに隠して………。

思い起こされる。

辛い過去を。

手に入れたいと思いながらも、同時によぎる。

失った時にやって来るだろう、寂しさと孤独感を―――。

だから、近づかない。

むしろ、遠ざけようと………。

でも、惹かれる。

目が離せない。

―――どうしても、諦められないのだ。



やがて、旋律が、ガラリと変わる。

気づいた。

いや、今まで気づかないふりをしていただけで。

今、やっと向き合う決心をした。

自分の人生に、これ以上大事なものはないと実感する。

こんなにも愛おしく、こんなにも大きな存在だということに。

後の事も、先の事も、これまでの事も………もう、どうでもよくなるほどに。



手放せない。



大事な、人。





愛してる。



愛してる。



シドは、私を、愛してる―――。







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