第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
キンコンカンコン~ ♪
1時間目が終わって、思わず大きなため息をついてしまう。
よかった、なんとか順調だった。
一安心しながら教室を後にする。
と。
「おい、マイン」
偉そうな声に呼び止められて振り向くと、そこにはカインとノアが並んで立っていた。
「こら、カイン。先生を呼び捨てにしないっていつも言ってるでしょ」
「うるせ。そんなこと、どうでもいい」
「どうでもよくないでしょ!?まったく、いつもいつも………」
「はい、ストーップ。ねー、マイン~、いいものあげる」
ノアが私達の言い合いを阻止しながら、制服の胸ポケットから一枚のカードを取り出した。
「IDカード?」
それは、いつも見慣れた学園のIDカードだった。
一つ違う点があるとすれば、顔写真の位置に、クリクリとした目が愛らしい小動物の写真が入っている。そのすぐ下の名前の欄には、『モモ』と書かれている。
「これ、イタチかなにか?カワイイね」
「モモだ」
「モモ?」
「そー、カインのペット」
「カインのペットのIDカードォ?動物にもIDカードなんて必要なんだ?」
「バカか、テメーは」
「ちょ、バカって。先生に向かって、それはないでしょ!」
「これは、フリーパスのIDカードなんだ」
「フリーパス?」
ノアの言葉を繰り返す。