第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「まさか、このような事が起こるとは。残念で仕方ない。先生方には、今まで以上に生徒への指導の徹底をお願いしたい」
伯爵が厳かにそう告げ、職員会議は終わった。
―――頭の中にモヤがかかったように、思考が働かない。
足取りもおぼつかなく、2年1組の教室へと向かう。
教室はいつもより騒々しく、廊下にまで声が響き渡っている。
アルバートの席だけぽっかりと空いているのが、なんだかすごく違和感がある。
あの席だけは、いつも時間どおりに姿勢よく座っている姿があるのに―――。
私が来ても気づく様子もなく、興奮したように大声で話し続けている生徒達。
「アルバート、停学だって?」
「風紀委員長がテスト問題盗むとはな」
「毎回、ノアに首位奪われてるからな、悔し紛れだったんじゃねえ?」
「真面目君ほどやる事すごいよ」
興味本位の心無い言いように、ギュッと唇を噛む。
そんなんじゃない。アルバートは、そんな人じゃないのに………。
「毎回、そうやって二位の座守ってきたのかもな」
その言葉と共に、ハハハッと高らかな笑い声が聞こえた瞬間―――私の中で、何かがブチンッと音を立てて切れた。
「………ふざけんな」
フツフツと怒りが湧いてきて、思わずそう口をついた。