第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
―――嘘っ、皆、早っ!
いつもよりは少し早めに出てきたはずなのに、職員室には、もうすでに先生達が勢揃いしていた。
自分の席の方に行くのもためらわれ、入口付近の隅で立ちつくす。
「マイン、だいじょーぶ、時間どおりだよ」
正面に伯爵とジル教頭と共に並んで立っているアーサーが、ニッと笑いかける。
予鈴の二十分前。いつもだったら早い方の私が、まさかの一番最後?
そういえば、前回の職員会議の時も、もうすでに皆揃ってたよね。あの時、すぐに職員室に向かっていたら、リアリン学園長が連れて行かれる場面に遭遇していなかっただろう。
学園のゴタゴタに気づくこともなく、こんなふうに伯爵とアーサーを悪者に思うこともなかったのかも………。
こんなに悩むこともなかっただろう。ただ、一生懸命に教職に専念できていただろうに―――。
と、そこで、ハッとする。
………ううん、私は、真実が知りたい。
誰が悪いのか、何が起こっているのか、きちんと見極めて正しい方向に向かいたい!
「じゃあ、始めようか」
アーサーがジル教頭を促す。
………やっぱり、私が一番最後だったんだ。次からは、こういう連絡が来た時は気をつけなきゃね。