第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
思ったとおり―――というより、想像していたのから更に上乗せしたくらいの広い広い図書室に圧倒される。
ここ、国立図書館か何か?
中央には、螺旋階段もある。
「二階建てなんだね」
「五階建てです」
「ご、五階!?」
この広さ、五倍あるんだ。これじゃ、私一人だと日が暮れちゃうよ!
迷うことなく歩いていくアルバートの後に続く。
『趣味・娯楽』と書かれた棚には、競技かるたの本が数冊並んでいた。
「これが一番読みやすいでしょう」
そう言って一冊の本を私に差し出す。
「ありがとう」
カウンターでIDをかざし、貸出処理をしていると、アルバートがおもむろに口を開いた。
「さっきの話ですが」
「さっきの話?」
「マイン先生は、誰のパソコンを探ろうと思っているのですか?」
誰のパソコンを探ろうと思っているかって………?
あ、あれか。『アルバートだったら、他の人のパソコンのデータを取り出すとか、できちゃう?』って言ったから。
「いいの、忘れて。ちょっと聞いてみただけだか………」
「学園長のですか?」
「………っ!?」
核心に迫られて、ドキリとする。
「マイン先生は、何か知っているんですか?俺でできることがあれば言ってください。俺は、不正を許せない性分なんです」
真剣な表情でそう告げられて、焦ってしまう。誰かを巻き込むわけにはいかない。ましてや、生徒を。誰にも話すなとアーサーに釘を刺されているし………。