第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「本当になんでもないんだ。ごめんね。もう気にしないで。この本、イラストたくさんついてて楽しいね。私でもわかるかなあ?」
慌てて、明るい口調で話を切り替える。
アルバートも察したのか軽くため息をついただけで、これ以上追求することはなかった。
「その本もいいのですが、やはり、俺が持っている本が一番かと。明日持って来ます」
「アルバートも本持ってるんだね?ありがとう。違った見方があるから、何冊か読みたいよね」
「………本気で競技かるたに興味を持ったのですか?それとも顧問という義務ですか?」
「ん~、どっちもかな?」
「あなたは、自分のことを話しているのに、なぜ疑問形になるのですか」
「え、私、疑問形になってる?」
「ほら」
「え、そう?」
「ほら、また」
「そうかな?」
「………わざとやってますか?」
「違うと思うけど?あ、本当だ。自分のことに疑問符つけてるね」
「言葉使いが、おかしい時が多々ありますよね。本当に先生ですか」
「本当に先生です!というか、先生だって完璧じゃないんだよ。日々、勉強して成長していくの」
「マイン先生を見ていると、その言葉、納得です」
「それは、褒めてるのかなあ?」
「そう取っていただいて構いません」
堪えきれずにアルバートは小さく笑みを漏らす。そうして、二人で笑い合った。
なんだか、すごく距離が縮まった気がする。