第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「あ、私、ちょっと図書室に寄って行くね」
ひとしきり笑って落ち着くと、思い出したように言う。
「なぜです?もう下校時間を過ぎますよ」
「競技かるたのルールが書いてある本借りたいなと思って。すぐ済むよ」
「すぐ済むとは思えないけどなあ。図書室広いよ?マイン先生、探せるの?」
そういえば、まだ一度も図書室に入ったことがない。そんなに図書室広いのかな。この学園の規模は、いつも基準値を遥かに越えるから覚悟しておいた方がいいかもしれない。
「う~~ん、どうだろう?行けばなんとかなると思うけど」
「アルも一緒に行ってあげたら?」
「なっ、なぜ俺が?」
「図書室はアルの庭みたいなもんでしょ。それに、競技かるたの本もいっぱいあるだろうけどアルなら一番適切なの選べそうだしね」
ユーリがニッコリと笑って言う。説得力あるなあ。
「仕方ない。では、マイン先生、行きましょうか」
「じゃあ、俺達、先帰ってるね。マイン先生、また明日ね!ミシェル様、行こ」
二人の後ろ姿を見送ると、急にシンと静まり返ってしまった。
アルと二人きりなんて………ユーリがいないと、間がもちそうにないんだけど!
なんとなく気まずい思いを胸に、お互い黙ったまま並んで図書室へと向かう。