第4章 ピアノレッスン~シド~
―――。
シドは、楽譜に目を通すうちに、はっとなる。
これ………もしかして、アイツか?
アイツが書いたってのか?
………何のつもりだ?
ウィルツで会うってのは聞いてたが………余計な話はすんじゃねえって釘刺しておいたはずだったがな。
シドは、楽譜をめくって、次の楽譜にも目を通す。
ったく、人生書いてんのかよ、無駄に長えな。
文句を言いながら、次の楽譜をめくる。
つまんねえ曲だ。
それでも………音符を目で追うのが、止まらない。
なぜか、わからない。
無性に引き込まれる。
魂を揺さぶられてるようだ。
俺は、何をしている?
何のために生きている?
―――大事なのは、なんだ?
マインは、誰のものだ?
ルイか?
………くれてやったつもりは、ねえ。
マインが俺に惚れてる事くらい、とうに気づいてる。
けど、マインはプリンセスだ。
俺が相手でいいわけねえ。
だからって………他の男が手ぇ出していいって事にはならねえ。
マインは、俺のものだ。
俺は、マインが―――。
そこまで思い出すと、ガバッと起き上がるシド。
苦々しい表情を浮かべて、深く、大きなため息をつく………。