第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「ねえ、アルバートだったら、他の人のパソコンのデータを取り出すとか、できちゃう?」
何の気なしに聞いてみると―――。
アルバートは、ピクリと眉をひそめ、私の方へ向き直る。
「マイン先生、それは、ハッカーと言って、れっきとした犯罪です」
「え」
妙に険しい表情のアルバートに、少なからず焦る。ちょっと言ってみただけだったんだけど………。
「それ、下手したら刑務所行きだよ?誰のを覗きたいの?あ、俺のパソコン見たい?」
「貴様のパソコンは、くだらないものばかりだろう」
「失礼だなあ。とっときのがあるんだよ。この間、動物園に行った時に撮ったパンダの親子の動画とか」
「やっぱり」
アルバートが呆れ顔でため息をつく。
「あ、私、それ見たい。パンダの親子」
「………見たいんですか」
「見たいよ。アルバートも見たいでしょ?」
「なっ、俺は、別に」
「な~んて言って、アルだって本当は見たいくせに~」
「貴様には、言われたくない!」
「パンダは、いいから、早く終わらせてください」
ミシェルにピシャリと言われてしまい、私達は首をすくめる。
「では、ミシェル様、生徒会の方に送信しておきましたので、よろしくお願いします」
手早く作業を終えると、パソコンを鞄にしまう。
それぞれ鞄を手に四人で和室を出て、玄関へと歩き出す。