第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
キンコンカンコン~ ♪
和室に響き渡るチャイムの音に、皆揃って柱の時計に目を向ける。
「下校時間になってしまいましたね。決着をつけたかったのですが」
「いい勝負だったのにねえ」
「残念だなあ。これ絶対、このまま続けてたら俺の勝ちだよね」
「そんなことわかんないでしょ!」
「誰かさんのおかげで進みが遅かったですからね」
「その誰かさんって私?私だよね?初心者を思いやる気持ちを大事にしようよ」
「いいから片づけ始めてください」
ガヤガヤと口々に言いながら札を集める。
いつもどおりに窓を端から順番に閉め始めていく太宰さんを手伝っていると、ユーリとミシェルも反対側から閉めていったので、あっという間に終わった。
アルバートは、傍らの小さなテーブルにノートパソコンを置き、電源をつけている。
「アル、何始めるの?俺ら帰っちゃうよ?」
「とっとと帰れ。俺は、活動報告書を書いてからにする」
そう言って、カタカタとキーボードを叩き始めた。
お先に、と言って太宰さんは早々に帰って行った。
「どれくらいで終わるの?」
そう聞きながら、画面を後ろから覗き込む。
「五分で終わります」
「それって、毎日書いてるの?」
「活動した日だけです。こうでもしないと、かるた部は廃部にされてしまうので」
活動報告書と書かれたテンプレートに今日の日付と人数等を高速で書き込んでいく。
相変わらず、すごいな。