第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
じっと目で追っていると、私の横にちょこんと正座をし、目線が同じになった。
「ミシェルもかるた部なんだね。なんで、かるた部に入ったの?」
「かるたをするために入りました」
面倒くさそうに、そう答えるミシェル。それ以上の質問は受けつけないって感じで、視線を逸らされる。
かるたをするため、ねえ。そういう意味じゃないんだけどなあ。どうして、かるたをしたいと思ったのかを聞きたいんだけどね。
長いフワフワの金髪に青い目、真っ白な肌に赤い唇。見た目は本当に外国のお人形のようなのに、かるたって。ギャップあり過ぎでしょ!
「太宰先輩、今年度の部費の申請は、私が済ませておきましたので。アルバートは予算組みありがとう」
「会計として当然の仕事をしたまでです」
「いつも悪いね、ミシェル。こういう時、部員に生徒会役員がいると助かるねえ」
三人の会話を黙って聞いていると。
あれ?太宰さん、ミシェルのことは名前、間違えないんだね。
というか、私だけだよね?とし子さんだとか、よし子さんだとか、おかしな名前で呼ばれるのって。
つまり、私だけ名前を覚える気がないってことか?
「いえ、名ばかりでも部長を引き受けてくれただけで感謝してますから」
ニコリともしないでミシェルがそう言い放つ。名ばかりの部長、だって。いつもながら、結構言うことキツイよね。
………って、え?
「部長って!?まさか、太宰さんが部長なの?」
「ああ、どうも俺が部長のようなんだよねえ」
のんびりとした笑顔を見ていると、『名ばかりの部長』に納得だ。