第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
『きりたちのぼる あきのゆふぐれ―――よをこめて―――』
来たっ、清少納言―――っ!!
と、唐突に。
「今日は、やけに騒々しいですね」
細くて高い声とともに、カラカラカラッと、引き戸が開いた。
そちらに気を取られて一瞬、ユーリが入口に顔を向けたので、すかさず見つけた札に手を伸ばした。
バンッ!
「やった!また取った!しかもユーリの陣の札!!どうだっ、二連チャン!!!」
『よをこめて とりのそらねは はかるとも よにあふさかの せきはゆるさじ』
大好きな清少納言の歌が、取り終わってから聞こえてくるって、最高!
「一番騒がしいのが先生とは………」
今度は本当に飛び上がって喜んでいるところに、入口に立って、そう呟く人物と目が合った。
「ミシェル?」
「あ、ミシェル様だ。ねえ、マイン先生こんなに喜んでるけど、まだ取ったの二枚目なんだよ。俺なんかほら」
ユーリは、自分の取った札を両手で扇状にして見せている。
「初心者相手に勝ってるのを自慢するなんて、低俗すぎますね」
淡々とそう告げると、靴を脱ぎ部屋に入ってくる。
この状況から察するに、ミシェルもかるた部員なんだよね?
意外なんだけど―――!