第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
つられて、顔が赤くなってしまう。
いやいや、これって絶対、変だよね。ここで私が照れたら、見惚れてたってのが冗談にならないんだけど!
「若いっていいねえ」
「太宰先輩、ジジくさ~」
「はいはい、おしゃべり終了!かるたに集中、集中!」
ごまかすように手をパンパンと叩き、大声を上げる。
『よをうぢやまと ひとはいふなり―――よをうぢやまと ひとはいふなり―――む』
―――っ!
『む』来たっ!!!
ひと呼吸置いて発せられた最初の一文字が『む』と耳が捉えるのと同時に、『きりたちのぼる あきのゆふぐれ』の札を夢中で叩いていた。
バン―――ッ!!
「やったぁ!取った!取った、取った!!!」
大きく札を空へかざす。ピッカンと輝く一枚!
「おお」
「やりましたね」
「油断したぁ」
「嘘~~、どうしようっ!嬉しい~~~っ!!」
もうもう、嬉しくて嬉しくて飛び上がりたいくらいだよ~~~っ。
かるた楽しいっ!
『むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ―――』
歓声にかき消され気味に、私の取った札の歌が読まれていく。
「さあ、次もバンバン取るぞぉっ」
「『む』以外の決まり字を知っている札があるのですか?」
張りきる私に、アルバートが呆れた顔つきで聞いてくる。
「ん?そんなの、あるわけないじゃん」
「では、その自信はどこから来るのですか?いや………追求するのは、やめましょう。次いきます」