第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
白熱したかるた取りは、後半にさしかかっていった。
気持ちが急くだけで、ユーリの動きにまるでついていけない。
未だに一枚の札も取れていないのだ。
ユーリが取った札は、着々と高さを増していることに焦りが募る。
取った枚数ではなく、自陣の札が先になくなった方が勝ちだそう。
けれど、私の陣から一枚取られる度に、ユーリ側から札を送られるので、自陣の札は増えていくばかりだ。
う、負けが見えてる………。
隣りの札をチラリと見ると、どちらの札も同じくらい………あ、若干、太宰さんの方が少ないかな?
すぐ横にいるアルバートに目を向ける。
いつにも増して真剣な鋭い瞳で、札を見つめている。
すっごい、真面目な横顔―――。
「何か言いたいことでも?」
私の視線に気づいたのか、大げさにため息をついてスマホを止める。
「え、いや、別に?こんなんで中断してなくていいよっ」
慌ててスマホを指さし、再開を促す。
「マイン先生は、アルを見てたんだ?なんで?」
「何故です?」
ユーリとアルバートに問われて。
「えっと、なんでかなあ?見惚れてたのかなあ?」
なんて、面白半分に答えてみる。
「なっ………」
と、口元を押さえて、みるみる真っ赤になってしまったアルバート。
―――うわっ、思った以上に、反応されてしまった!