第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「あのさあ、なんでそんなに札を吹っ飛ばすわけ?これじゃ、取ったの一枚じゃないじゃん?お手つきでしょ。アルバートなんか私のとこまで札飛んできてるよ?混ざってどれがどれだかわかんないんだけど」
「自分の札くらいわかりますよ」
アルバートは、さっさと札を拾い上げ、私の陣の札をもきれいに並べていく。
「あ、本当だ。さっきと同じ並びになった………って、配置全部覚えてるってこと?」
「かるたの基本です。ちなみに、マイン先生の陣は、さっきの七分で、つい覚えてしまいました」
「つい?」
七分で、自分の陣とは無関係な札の配置を覚えたってこと?自陣の配置はもちろん、もう把握済みだよね?
………どういう記憶力だよ!!
「それで、今の質問ですが。自陣に札があった場合、取りたい札に直接触れなくても、競技線の外に出せば、取ったことになります。ですから、まとめて払っても構わないのです」
「競技線?どこにそんな線が?」
キョロキョロと辺りを見回すけれど、畳にそんな線なんかあるわけがない。
「そういう揚げ足取りは、もうやめていただきたい………だいたい、この辺とこの辺りになりますかね」
アルバートが軽くため息をつきながら、指で空中にラインを描く。
「それ、すごくいい手じゃない?だってさ、毎回こうやって札全部吹っ飛ばしたら、どれかは当たりってことになるよね?」
「敵陣に札がある可能性もあるし、空札かもしれません。そうなると、お手つきとなってしまいますが」