第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
と、アルバートがポケットからおもむろにスマホを取り出して操作し始めた。
「え?このタイミングで誰かに電話するつもり?」
「な………っ、そんなわけないでしょう!見てください」
そう言ってスマホを差し出すので、横から覗き込んで見る。
「百人一首読み上げアプリ?そんなのあるんだ。便利だね」
「あまり近くに来ないでください」
私が近づいて縮まった距離分、身体を逸らして遠ざかるアルバート。コホンと咳払いをするその頬は、心なしか赤く染まっている―――。
並べ終わったかるたの前で、四人がそれぞれの位置に正座し、頭を下げる。
そういえば、百人一首なんて数えるほどしか遊んだことないなあ。
子どもの頃の記憶を思い起こす。
十二単姿の絵札が綺麗で、欲しくなって買ってもらったっけ。
でも、その時買った百人一首にはCDが付いてなくて、今みたいに朗読してくれるアプリもなかったから読むのに苦労してて、そのうちだんだん遊ばなくなっちゃったんだよね。