第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「あ~~、見~つけたっ!」
ユーリの大声に皆が振り向くと、その手には思ったとおり、百人一首の入った箱があった。
「こんなところに、あったのかい?」
太宰さんがもう一つ箱を取り出し、フウッと息を吹きかけて、上にうっすら積もったホコリを払っている。
………一体、いつから使ってないんだろう?
そもそも、肝心のかるたがどこに置いてあるかもわからなくなるってこと自体、おかしな話だよね?
首を傾げつつ、札を持つユーリの向かいに座り、一緒に並べ始める。
「じゃあ、マイン先生は俺と対戦しようね。俺、子どもの時以来だけど、マイン先生には負ける気しないなあ」
自信満々の挑発的な笑顔を向けられて。
「は?何言っちゃってんの?私を誰だと思ってんの、古典の先生だよ?私の方が負ける気しないんだけど?」
もちろん、得意気に言い返してやる。
「これは手ごわいな。いい勝負になるといいけどねえ」
「お手並み拝見といったところですかね。まあ、目に見えてますが」
アルバートが私の隣りに座り、向かい合う太宰さんと札を並べながら、皮肉めいた笑みを浮かべている。
「ほら、そこ~~、バカにしない!マイン先生がかわいそうだよ!」
「あのねえ、かわいそうなんかじゃないから!私、百首、全部覚えてるよ?かわいそうな思いするのはユーリの方だよ!」