第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「まあまあ。せっかくだから、アルバート、手合わせ願おうかな」
「望むところです。太宰先輩」
「あ、俺もやりたい!」
ユーリが大きく手を上げる。
「やるって、何やるの?」
「マイン先生、あなたはバカですか?かるた部でやることといったら決まってるでしょう」
「………かるた?」
だよね?
「どこにやったかねえ」
びっしりと並んだ棚をあちこち開けていく太宰さん。
その横から中を覗いて見るけれど―――。
小さな段ボールの箱や、ビニール袋の束が積んであったりする。
ガムテープの山に、油性マジック、チョークなどの備品も無造作に入れられてて。
いつかの運動会か何かに使用した、スズランテープで作られたポンポンが詰め込まれていたり。
………要は、ガラクタばかりが入っている。
「あ、で、何探してるんだっけ?かるた?犬も歩けば棒にあたるってヤツだよね?」
「ブッブー、ハズレ!ほーんと、マイン先生って、おもしろいよね」
ユーリが楽しそうに笑いながら言う。
「………それは、ことわざかるたですね。通常、かるたと言えば」
「百人一首だよね!」
アルバートの言葉を遮って、言い直してやる。
「………そうです」