第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
太宰さんが仲裁に入るわけない。仕方なく私が二人の間に割って入る。
「あのぉ、この流れからして、もう一目瞭然な感じだけど………もしかして、アルバートもかるた部なの?」
「もしかしなくても、かるた部です。重要なお知らせがあると聞いて剣道部を早めに切り上げてきたというのに、用件はこんなことですか」
クイッとメガネのつるを指先で上げ、鋭い目つきをこちらに向ける。
「こんなことって失礼な!まだ何も言ってないし!」
「大方の察しはつきます。顧問就任の挨拶をしようということですよね?」
「………そうだけど」
う、ズバリ当てられちゃった。
「公共放送を使ってまで、こんなくだらないことを………」
アルバートの小さな呟きにカチンとくる。
「くだらないって何?私は、部員にちゃんと挨拶したかっただけ。そもそもちゃんと皆が来てれば放送する必要なんてなかったんだから!部員ならちゃんと出席しなさいよ!」
「それは、無理な相談ですね。あいにく俺は剣道部主将も兼ねているので限られた時間の中で出席するしかないのです」
剣道部………それも主将かよ!!
それなら、強く言えない。ここは、おとなしく引き下がろう。
「事情は、わかった。忙しいのに呼び出してごめんね。じゃあ、戻っていいから」
「いえ、もう道着から着替えましたし、今日は、このままかるた部の活動に参加します」
「このままいるんだ………」
「何か問題でも?」
つい、口にした言葉に反応されてしまい、ギロリと睨まれる。