第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
どれくらい時間が経っただろう。
静かな和室の均衡が、突然、破られた。
「失礼しま~す」
勢いよく和室の戸が引かれ、元気な声が響いたのだ。
あ。
誰か来た!本当に、他に部員いた!
驚きとともに、喜び勇んで入口へと駆けていく。
と、そこに立っていたのは、ユーリだった。
「あ、やっぱり、マイン先生だ~~」
「やっぱりって?あ、それはそうと、ユーリ、かるた部員なんだね?」
「違うけど」
その答えに、がっくり肩を落とす。
「違うの?じゃあ、どうしてここに来たの?私に用事?」
「そうとも言えるかな。俺、今、入部するから。今日から部員だよ。よろしくね」
「え、入部するの?本当!?太宰さん、新入部員入ったよ!」
パッと目を輝かせて、まだ奥に座ったままの太宰さんに声をかける。と、驚いた顔をして立ち上がり、こちらに向かってゆっくり歩いてきた。
「え、太宰先輩?………まだ卒業してなかったんですか?」
「ユーリかい?君がここにいるということは………年月が経つのは早いねえ」
ん?あれ?
二人を交互に見やる。
知り合い、なんだあ。
「俺、飛び級したんです」
「そうかい。それじゃあ、一緒に卒業することになるかもねえ」
「先輩~、それ、笑えない冗談ですね」
なあんて。向かい合って、朗らかに笑っている二人。
………それ、実現しそうで、本っ当に笑えないんだけど!