第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「そんなはずはないと思うけどねえ。これでも、昔は十人以上の大所帯だったもんだよ」
「昔?って、それ一体、いつですか?」
「俺が1年の頃、先輩が卒業して、また新入生が入って来て、途中で辞めていって、また辞めていって………」
のんびりと指折り数える太宰さん。
は?両手、グーになっちゃってるんだけど!
「え、え、えっ!?ちょっと待ってよ!!本当に部員いないってこと?私、太宰さん一人に呼びかけてたってこと?あの放送の意味がなかったわけ?」
「よし子先生は、せっかちだねえ。今数え終わるから待っててくれるかな?部員は俺以外にもいるから安心するといいよ」
そう言って、ニッコリしてるけど………本当なのかな。
太宰さんの人数確認なんてあてにできそうにない。
ため息つきつつ靴を脱ぎ、畳の部屋へと足を踏み入れる。そして、奥のテーブルにドサリと荷物を置き、椅子に腰掛ける。
………これって、追体験か?こうやって、放課後が過ぎていった経験が、つい最近あったばかりだよねえ。
そう思いながら、再びため息をついてしまう。
教科書を取り出して、明日の予習を始めることにする。