第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
午後の授業を終え手早く帰り支度を済ませると、足取りも軽く、かるた部の部室へと向かう。
カラカラカラッ。
期待を込めて引き戸を開けてみたけれど。
静かだ。
まだ誰も来ていないのかなあ。
あ、いや、いつもどおり太宰さんは、いる。
もうすでに指定の位置で正座をして、本を読んでいる姿があった。
「ねえ、太宰さん。誰か来た?」
少し驚いた顔をして、本から顔を上げてこちらを見ている。
「おや、としこ先生、久しぶりだね。誰も来てないけど誰かを待っているのかい?」
「誰かって………かるた部員だよ。放送、聞いたよね?」
「ああ、そうだったね」
「なんで誰も来ないの?」
「なんでかねえ」
「なんでかねえって………あの、部員って本当にいるの?まさかと思うけど、まさか………部員は太宰さん一人とかって、言わない、よねえ?」
………なあんか、嫌な予感がしてきた。
そういえば部員の人数を聞いてなかった!
いや、でも、部員一人なんてこと、ありえないよね?そう思いたいけど………そうだよって返事が本気で返ってきそうで怖いんだけど!