第4章 ピアノレッスン~シド~
~回想・シド~
俺は、なんで、あんな事をしたんだ?
マインを傷つけるつもりなんか、なかった。
それなのに―――。
両の手に残る、マインの細い手首の感覚。
今でも、はっきりと残っている気がする。
―――マインを抱いてから、ずいぶん経つというのに。
シドは、舌打ちをする。
一体、なんだって、こんな事になっちまったんだ?
そもそもの始まりは、何だ?
マインが俺にピアノを教えるだとか、音楽祭で一緒に演奏しようだとか、おかしな話を持ち出したからか?
―――いや。
それなら、問題は解決してる。
俺は断り、代わりにルイが弾いた。
それで、いい。
………マインとルイが仲良く弾いてるのに、俺は嫉妬したってのか?
はっ?
ありえねえ。
シドは、イライラと部屋の中を歩き回る。
………っ!
めんどくせえな。
ベッドにドサリッと身体を預け、天井を見上げる。
何度考えても、わからねえ………。
シドは、ゆっくり目を閉じた。