第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「勘弁してくださいよ、黒崎先生~~」
ん?
全然違う方から悲痛な叫びが聞こえ、思わずそちらに視線がいってしまう。
若い男の先生………生物の先生だったかな?そして、彼のそのすぐ横に黒崎が立っている。
「俺、今回2年と3年、2学年分の問題作成担当なんっすよ。だから、まったく時間なくて………」
「うるさい、そんなことはどうでもいい。いいから、これも頼むぞ」
「いやいや、無理ですって。パソコンの操作の仕方教えますから、ほんっと、もうそうそろ自分で作ってくださいよ~~」
「できたら印刷しておけ。仕上がりをチェックするから早めにな」
「黒崎先生~~っ」
生物の先生は、半泣き状態だ。それなのに、黒崎は、横柄な態度のまま。
あの先生が、毎回、黒崎の分のテスト作成を手伝って、いや、手伝わされてきたんだね?
かわいそう。何か弱みでも握られてるのかな?
一瞬、黒崎がこちらを見たような気がした。急いで顔を逸らす。
………私には、関係ない。関わらないようにしようっと。
そういえば、黒崎のあの裏金の出どころ………今となっては、データも何も残っていないので、どうすることもできない。
フルフルッと首を振って―――。
とにかく今は、目の前のことに専念しよう。教師としての仕事を第一に考えなきゃ。
パソコンに目を落とすと、ロベール先生に言われた手直しに取りかかる。