第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「マイン先生、調子はどう?なんだか難しい顔をしているね」
「あ、ロベール先生」
しかめ面をしている私を気にかけて、声をかけてくれたのだろう。
「はい、苦労してます」
苦笑しながら正直に答える。
「見せてごらん」
ロベール先生は、空いている隣りの席に座ると、先ほどプリントしてみたテスト問題に見入っている。
「全体的なバランスは良いね。この、問五は、もう少し難易度を上げてもいいんじゃないかな。平均点をあと二点ほど下げたいところだね。それから、ここは………」
的確なアドバイスに、呆気に取られる。
「ロベール先生、古典できるんですね?」
「日本文化が好きで、独学で勉強してた時期があったからね。この学園では、古典は基本教科だから、新任の頃に古典も任されていたんだ。テスト問題を作ったこともあるよ」
「そうなんですね。あの、ありがとうございます。お忙しいのに、すみません」
「こういうことなら、いくらでも頼ってくれていいよ」
落ち着いた雰囲気のロベール先生。
画家でもあって、美術評論家としても活躍してるって聞いたことがある。
あ、それに、医師の資格も持ってるんだよね。
それに加えて、日本文化にも詳しいなんて。
博識なんだなあ。
思わず、尊敬の眼差しで見つめる。