第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「あの、ほんとに窓で大丈夫ですから。おかまいなく」
「そうかい。それなら、このままにしようか。しかし、先生が生徒に敬語とは、何かおかしな気がするね」
「そうですね………って、あ~、また敬語使ってるよね。わかった、普通に話すね。ねえ、他の部員はいつ来るの?」
「さあてね。皆忙しいようだから、来たり来なかったりだね」
「来たり来なかったり………?」
じゃあ、今日も来ないかもしれないってこと?
太宰さんは、もう先ほどの場所に戻り、本に没頭している。
手持ち無沙汰なままでもいられないので、テスト問題作成のマニュアルを鞄の中から取り出し、読み進めることにする。
そうして、静かに時間は、過ぎていった。
結局、その日、かるた部員は、太宰さん以外の誰一人やって来ることはなかった。
それは、次の日も同様だった。
昨日と同じように、やっぱり着物を着ていて、同じ位置に座り本を読んでいる。
私は机に向かって明日の授業の準備をしている。
最初に入って来た時に、『やあ』と声をかけられたきり、何も話していない。
下校時刻のチャイムが鳴ると、おもむろに立ち上がり、端からきっちりと窓を閉め、フラリと部屋を出て行った。これも、昨日と一緒。
これ、部活って言うのかな………根本的なところが疑問だ。
まあ、でも、現状はこうなんだから仕方ないよね。
かるたは、一人ではできないし。