第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
早速、かるた部の部室があるという西棟へと向かう。
校舎の外れにあるこの棟は、授業で使う教室がなく、見回りの時も来たことがなかった。
そもそも、学園自体が広すぎて、全体をまだ把握しきれてないんだよね。
シンと静まりかえっている西棟。
いつのまにか足音を立てないようにソロリソロリと歩いている自分に気づいて、思わずハハッと笑ってしまう。
と、妙にその笑い声が校舎に響いて、慌てて口に手をあてる。
―――静かだなあ。
そうして、一番手前に見えて来たのは、第一和室。茶道部の活動場所だったかな。
あ、当たり。
小さなガラス窓から中を覗くと、何人かの女子生徒が正座していて、お茶を点てている。
人、いたんだあ。静か過ぎるから、誰もいないと思ってた。
隣は、第二和室。ここは、華道部か。もうすでに生徒達が、豪華な花々を思い思いに生けている。
茶道に華道。さすが、お嬢様って感じ~~。
そして、一番奥の第三和室。ここが、かるた部の部室だ。
先ほどと同じように中を覗いてみる。まだ誰も来ていないようだ。
カラカラッ。
引き戸を静かに引いて中に入ってみる。思っていたよりもずっと広い室内。
あれ、窓が開いてる?
微かに空気の流れを感じる。けれど、西日が立ち込めていて、かなり暑い。
靴を脱いで畳の部屋に足を踏み入れる。