第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「お疲れ様です、マイン先生」
帰り支度をしていると、ジル教頭に声をかけられる。
「ジル教頭も審査員お疲れ様でした」
「いいコンクールでしたね。どのクラスも素晴らしかったですが、マイン先生の指導したクラスはすべて上位入賞を果たしましたね。指導の賜物ですよ」
「いえ、私なんかそんな。生徒達の実力です」
さっきから、たくさんの先生達に同じように褒めてもらって、恐縮してばかりだ。
「2年1組には、近々行われるリアリン市国建国祭で披露していただきます。それまでの間、また指導をお願いできますか?」
結局、ルイのクラス、2年1組が優勝した。去年1年生の時も優勝してると前に聞いているから、実力は確かなのだ。
そして、担当のクラスが優勝した場合、引き続き指導を行うことも聞いてはいた。
名誉なことではあるけれど………。
「あの、そのことなんですけど、建国祭なんてすごい祭典での発表なのに、指導が私でいいんでしょうか?音楽専科の先生の方が相応しいと思うんですけど」
「建国祭での合唱は、コンクールと違って順位を争うようなものではありません。市国民の皆様が楽しんでいただけることが前提ですので、そのように不安に思う必要はありませんよ。生徒達の良さを最大限に引き出し、楽しく伸び伸びと歌うように指導していただければ良いのです」
いつになく優しい微笑みを浮かべるジル教頭につられて、私も笑顔を返す。