第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
~新顧問~
放課後。
合唱コンクールが終わって、興奮冷めやらぬといった雰囲気。まだ耳に残っているメロディーを、なんとはなしに口ずさむ生徒達。
学園中が音楽に包まれているようだ―――。
そんなフワフワした感覚は、生徒だけでなく、私達教師も同じだ。
職員室では、先生方が口々にコンクールを絶賛している。
どのクラスもそれぞれの良さがあり、甲乙つけられないほど上手だった。
審査員の先生が、苦笑しながら状況を語ってくれている。いかに大変だったかが伺える。
私だったら、すごく悩んじゃっただろうな。単純にコンクールを楽しめなかっただろうし。
そう思ったら、ほっと小さくため息が漏れた。
そんな中、話題は少しずつ中間試験の問題作りと切り替わっていった。
私は、1年生の古典のテストを任されている。
初の大仕事だ。
今朝、ジル教頭から渡されたテスト問題作成のマニュアルをパラリと捲る。まず、この分厚い概要を読まなくちゃいけない。出題範囲の量、平均点の算出法などなど、細かい決まり事項があるようで、先にこれを熟読して頭に叩きこまなければ………キツイなあ。
学生の頃は、テスト、テストの毎日で大変だったけど、作る側になって初めて先生も苦労してるんだなと気づいたところ。
とにかく、頑張らなくちゃね。