第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
あの時と同じように、微かにジンと痛みが残っている手首に触れる。
『それ以上、ゼノ様に近づくな』って、凄みのある、怖い声で言われたし。完全に不審者扱いされてた。
その時は知らなかったけど、ゼノ様は、シュタインの時期国王で、アルバートは、その側近。
常に身辺警護に余念がないのだろう。だから、あんなにピリピリしていたんだろうね。
その後、勘違いとわかり、深々と何度も頭を下げられた。
顔を上げ、お互い目が合った時、驚いたように目を見開いていたっけ。
あの時、アルバートは、私がメイドカフェのリリカだって気づいたんだろうね。
私なんて、なんとなく会ったことあるかなあ?くらいで、全然思い出せなかった。
あ、そういえば………生徒会の合宿の時、『だってアル、リリカちゃんにまた会いたいって、ず~っと言ってたよね?』ってユーリが言った時、顔を真っ赤にして否定していたのが思い浮かぶ。
あれって、どこまでが本当なのかな………。