第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
アーサーと親しかったこと、伯爵が名付け親だということが引っかかる。それに、昼食の準備や後片付けをしていることから、必然的に応接室の鍵を持っているんだよね。
裏を返せば、それだけ信用されているってこと。
それって、つまり、セバスチャンは伯爵側ってこと?
アーサーにも言われたけど、よく考えて行動しているつもりでも、どこか思い込みで突っ走ってしまっている自分を否定できない。
伯爵の隣りに座っているアーサーに視線を移す。今日はメガネをかけている。その奥の瞳は、真剣な色をしていて………シャープな顔のラインを目でなぞっていく。
―――と。
え、わっ!
急にこちらに向き直り、目が合ってしまう。
ニコリと笑いかけられて、慌てて顔を逸らす。
………一番信用していいかどうかわからないのが、アーサーであることは間違いない。
多分、まだこっちを見ているだろう。顔を上げられないよぉ。
そうこうしているうちに、ホールの中央の観覧席から3年1組の生徒が立ち上がり、私達の前を通り過ぎてステージに上がっていく。
チラリと審査員席を見やると、アーサーの視線は、もうステージへと向けられていた。
ホッとして私もステージに顔を向け、拍手を送る。