第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
指揮のゼノ様が中央に立つ。相変わらずのオーラを放っているなあ。
生徒達がそれぞれ立ち位置に並び、最後にピアノの前に座るミシェル。気高いお姫様のような雰囲気だ。
ゼノ様とミシェルって、美男美女で、まさにお似合い。確か、噂にもなってたはず。クラスも同じだし生徒会で一緒だから話す機会が多いからね。というか、ゼノ様と対等に話す女子なんてミシェルくらいだもんね。
けど、当の本人達はそんなこと意に介さずで、お互い我が道を行くといった感じ。二人の間には信頼関係はあるけど、それが恋愛感情ではないって、そういう方面に疎い私にでもわかる。
そういえば、合唱コンクール練習に気を取られていて忘れてたけど、生徒会はどうなっているんだろう。
アーサーが仕切ってるんだよね。ゼノ様とミシェルのことだから、うまくやってるだろうとは思うけど。
サッと指揮棒が振られ、合唱が始まる。
綺麗な歌声。落ち着いてて、常に安定感がある。指揮とピアノの呼吸もしっかり合ってる。
もちろん、今日もシドはいない。合唱コンクールで真面目に歌っているシドなんて、想像つかないしね。
そうだ。デバイス!壊されちゃったんだ。どうしよう。
本当のことを言う訳にはいかない。けど、あのシドに隠し事なんて無理だろうな。
シドに会ったら、必ずその話になる。それまで、なんとかしなきゃ………でも、なんとかって、どうやって?
―――頭、痛いなあ。