第30章 私立リアリン学園!~イケヴァン・アーサー~ 情熱編
「え?」
「もうそんなの………どっちの味方とか、かまわないんだ。そんなこと関係ない。俺は、君の心が欲しい」
「心って………」
何を言ってるの?
額から流れる汗をじっと見つめていると、目が合い、顔を覗き込まれる。
「もちろん、最初から仕組んでいたことだった。あの音楽会の日、きっかけを作るだけのつもりだった。本気になんかならない、なるわけない。そう思ってた。それなのに―――君がステージ上のルイを見る目を見たら、黙っていられなくなった。すぐに学園で再会する、そうは思っても、それまでの間にルイと進展したらと思うと、どうしようもなかった」
「………」
「毎日君を想ってた。ずっと待ってた。いつ電話が来るんだろうって。もっと強引に食事に誘えばよかった、無理矢理にでも連絡先を聞き出せばよかったって、ずっと後悔してた」
「………?」
その瞳は、どこか悲しげで、儚く揺れている。
「ドレス姿が、すごく綺麗だった。あの時、もう、すぐにでも君を奪いたくて仕方なかった………こんな気持ち、初めてなんだ」
私の肩口に顔を寄せると、フワリと柔らかい髪が素肌に触れた。
「アーサー?」
「マインは、まっすぐな人だから、俺の本当の姿を知ったら離れていく―――そう思うと怖かった」
首筋に感じる吐息。首を傾けて、その柔らかい髪を頬で撫でる。