第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「だから、誰にも言わないってばっ。お願い、考える時間をちょうだいっ」
「考える時間?どっちが正しいか判断つけるってこと?それ、信用できるのカナ?一人で抱えていられなくなって、愛しの王子様に相談するか情報屋に丸投げするかしちゃいそうだよね?」
「………」
アーサーには、誤魔化しは通用しない。そんなこと、とっくに痛感してる。
「証拠もなにもないのに、私が話したくらいで事態は変わらないでしょ?」
「調べは、今より遥かに進むだろうね」
「ねえ、じゃあ、私、どうしたらいいの?」
「俺達の革命に賛成して。悪いようにはしない。ここで立派な専科教師として、ずっと働いていけるようにしてあげるから。俺達側についてほしい」
「………」
「この学園じゃ俺達は完全に悪者。だから味方がほしいんだよね。マスコット的存在がいると好転しそうだし」
「マスコットって………私に好意あるふりしたのもそのため?最初からそのつもりで近づいた?」
「否定はしない。ケド、マインが魅力的だから惹かれたってのも事実」
「茶化さないで。最初から知ってたんだね?あの音楽会の時から………ううん、その前から」
私の声、完全に震えてる。声を出すのもやっとだ。
事実であってほしくない。違うって言ってほしい―――。
心の中で、願いながら、言葉を続ける。
「あのチケットは、雨で濡れてなんかいない。もし濡れたとしても、インクが滲んだりしない。そうだよね?」