第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
痛い―――っ!
「コレ、持ってかれちゃ困るんだよね」
指の力を失って、弱々しく左手が開かれていく。
そうして―――私の手の中から、デバイスが取り出される。
「置いてってくれたら、信用しようと思ってたのに。残念だな」
アーサーは、ググッとデバイスの中心に力を込めると、パキンッと音を立てて潰してみせた。
それから、床に無造作に放り投げた。
カシャン―――ッ。
背筋にゾクリと冷たいものを感じる。
「さあて。悪いコには、お仕置きしないとね」
アーサーは、片手でネクタイを解いていく。
「何を………っ」
シュルリと風を切ったかと思うと、両手首をまとめられ、後ろ手に縛られる。
「何するの、やめて!」
抵抗しても無駄だった。アーサーの力には、かなわない。
あっという間の出来事だった。
………ん、けど。緩く縛られている?これなら解けそう―――そう判断して、手首を交互に動かす。
「え、なんで?痛………っ!?」
なぜか、ネクタイがキリキリと手首に食い込んでくる。
「無駄な抵抗しない方がいいよ?それ、動かせば動かすほど絞まるように結んだからさ」
「解いてよっ」
「俺に絶対服従するように調教し終わったらね」
「冗談でしょ!?」
「冗談なんかじゃない。今、このことを他に話されたら俺達が困ることになる」