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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




と、背後から、

「マイン」

呼ばれて、振り向く。



月の光に照らされて銀色に輝き、揺れる髪。

すみれ色の、濃い瞳。



「………モー君」



私は、ほっとして、彼に近づく。



「君が、ホールを出て行くのが見えたから」

「あれ?私は、モー君の事追いかけて………」

「これ」

モー君は、両の手に持っている紙コップの一つを私に差し出す。

あ、飲み物を買ってたんだ………。

どこかに売店があったのだろう。見落としてた。

「ありがと」

「オレンジジュースでよかった?」

「うん………でも、モー君は何飲んでるの?」

「これ?トマトジュース」

「トマトジュースって………」

「こっちが、いい?」

「あ、ううん!オレンジで大丈夫」

私はモー君からカップを受け取ると、ゆっくりと歩き出す彼について行く。

中庭に入ると、ベンチがあり、そこに並んで腰掛ける。

オレンジジュースを一口、コクリと飲んで。



―――会えてよかった。



私は、モー君に伝える事がある。謝らなければいけない事も、お礼の言葉も………。



何から伝えよう………そう、考えを巡らせていると、先にモー君が言う。



「いい演奏だったよ」

「あの!ごめんね、モー君の曲を、演奏できなくて」

私は、一番伝えたかった事を口にした。

「弾いてほしいとは思ってたけど、頼んでは、いないから。マインは、謝る必要ない」

「え………あ、そっか」



確かに。

曲目は指定されていなかった。

あの日以来、ルイと練習をしなくなって―――。

それでも、時は過ぎて演奏会は着実に近づいていて。

あの曲は、まだ人前で弾けるほどの出来ではなかったので、急遽別の曲を選び直す事になった。

私はずっとふさぎ込んでいたので、ルイも私も弾ける、無難な曲が選ばれて。

ぶっつけ本番で弾く事となったのだ。

二台のピアノでの二重奏に変更して、私が主となり、ルイはフォローに徹してくれた。

そして、なんとか、形になる演奏を披露する事ができたのだ。







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