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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




演奏を終えた瞬間、私は満足感でいっぱいだった。

いい演奏ができた―――。

そう、心から思えた。



私達は、歓声に応えるように深々と何度もお辞儀をした。

何度目かのお辞儀の後、顔を上げた時に不意に、視線が合う。



会場の、一番奥に立ち尽くす、その人―――。



………っ、モー君だ!



早る気持ちを抑え、優雅な仕草で会場の端の方々にもお辞儀をし、もう一度顔を上げたその時には。

彼の姿は、なかった―――。





「マイン様、ルイ様、お疲れ様。すっごくいい演奏だったよ」

ステージの袖に戻ると、ユーリが満面の笑顔で迎えてくれる。

「うん、ありがとう………」

視線を彷徨わせながら、気もそぞろで、お礼を言う。



―――どうしよう。



この後は、来賓席で鑑賞する事になっている。

ユーリが誘導してくれるので、後について歩き出す。

けれど―――。



「あ、あの、ユーリ………私………」



「一番左奥のドアから出て行ったよ」



私の言わんとする事を理解してくれたユーリが、耳元で囁くように告げる。



「―――っ!」



すぐ横にあるドアから、静かに会場を出る。

足早に廊下を行き、ロビーに出る。

演奏会が始まっているからか、ロビーには誰もいない。



………帰っちゃったのかな。



あまり不自然にならないように辺りを見渡して―――。



それから、受付の方々に会釈をして、ホールを出る。



夜風が、ひんやりと頬を撫でる。

それは、会場の熱気と高揚感で火照った身体に、心地よく染み入る。



階段をゆっくりと降りて、見回す。

約束をしていたわけじゃないから、仕方ないのだけど………。

どうしようか迷いながらも、中庭の方へと足を向ける。








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