第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
そうだ。
最初に会った時から、それは思ってた。
だって、セバスチャンって、どっからどう見ても生粋な日本人。端正な顔立ちをしている、いわゆる醤油顔。
だから、自己紹介された時、その顔でセバスチャンかよ!?ってツッコミたくて仕方なかったんだよね。
「じゃあ、セバスチャンの本名って何?」
「それは………秘密ということにしておきましょう」
「は?なんで?」
「そんなの、面白いからに決まってんじゃんー」
アーサーが屈託なく笑う。
「………」
どうしてこうも、次から次へと、からかわれるんだろう?
ムーッとした顔をして、おもいっきり顔を逸らす。
「意地悪言う人は嫌いっ!」
「あらら、俺、嫌われちゃった?」
「賑やかだね」
振り返ると、いつのまにか伯爵が戸口に立っていて、私達のやり取りを微笑ましげに見つめている。
「では、私はこれで」
ワゴンを押して、去って行くセバスチャン。
「さ、食べよー、もうペコペコ~~」
アーサーが両手をグルグルと振り回しながら席に着く。
このあいだと同じように、私もアーサーと向かい合って座る。