第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「あれ? マインとセバスチャンって、ずいぶん仲がいいんだね?」
応接室のドアがいきなり開いたかと思うと、アーサーの姿が目に飛びこんできた。
「………!!」
慌てて口をつぐむ。
………今のって、聞かれてないよね?
「ねー、セバスチャン。マインは、俺のモノだから口説くの禁止だからね?」
「天変地異が起こっても、私がマイン先生を口説くことは、まずないかと」
「ちょっと、アーサー!私はアーサーのモノなんかじゃないから!それに、セバスチャンは何?天変地異が起こってもって!?失礼なっ」
二人を交互に睨みつける。
と。
アーサーとセバスチャンは、顔を見合わせて同じように小さく笑う。
「ほんっと、カワイイよね」
「からかい甲斐があると言うものです」
あれ、なんだろう。この和やかな空気。この二人って………意外に仲良し?
「何?キョト~ンとしちゃって」
アーサーが笑いながら言う。
「なんか、二人が前からの知り合いみたいに見えるんだもん」
「知り合いだよ。ついでに言うと、セバスチャンて名づけたのは伯爵だし」
「ええっ、名づけの親!?」
それにしては、年がそう離れていないんだけど………あ!
「どこまでぶっ飛んだ発想なのですか?私の本名が、セバスチャンなわけがないでしょう」