第4章 ピアノレッスン~シド~
~再会~
音楽祭の今日は、朝から大賑わいだ。
ウィルツの街には、陽気な歌とダンス、楽器を弾く人々で溢れかえっている。
文字通りのお祭り騒ぎだ。
笑顔と音楽で満ち満ちた、活気ある城下をゆっくりと散策していく。
あっちの音楽隊に目を惹かれてたかと思うと、小さな子ども達がオモチャの楽器を手に走り回っているのに、目を奪われる。
そんな微笑ましい光景を見ていると、晴れやかな心地がしてくる。
と、自然に顔が綻び―――自分で驚く。
私………笑えてる。
いつのまにか、元気になってきてたみたい。
「楽しいね」
隣りで微笑むルイにつられて、私も笑顔になる。
そんな私を、ルイが目を見開いて見据えてる。
「え、あれ、どうかした?」
「マインの心からの笑顔、久しぶりに見た………良かった」
そう言って、もう一度、笑う、ルイ。
そうだ、ずっとルイは気にかけてくれていて、それなのに私は………。
「………心配かけて、ごめんね」
ううん、と首を振るルイ。
「夜の演奏会まで時間あるから、もっと、いろんな所まわろうか」
「うん」
私は、もう一度、笑顔で答える。
少しずつ、自分を取り戻している事に気づく。
泣いたり悩んだりの毎日には、もう疲れた。
―――そろそろ、前に進まなくちゃ。