第4章 ピアノレッスン~シド~
「………皆、マイン様の味方だよ。勿論、俺も。忘れないで」
ユーリが、部屋を去り際に、そう告げる。
―――ありがとう。
そう、答えようとして。
唇を噛みしめる。
今、口を開いたら、大声で泣いてしまいそうだった。
両手で口を押さえて………。
私は、声を殺して泣いた。
皆に迷惑をかけているって、わかってる。
心配かけてる事も、勿論わかってる。
朝から休む間もなく続く公務を、無理に笑顔を作ってこなす毎日。
そんな私を、皆が支えてくれているのに………。
今までどんなふうに笑ってたんだろう、どんなふうに毎日を過ごしていたんだろう………そんな事を考えてしまうほど、自分を取り戻せない。
部屋に戻って1人になると、こうして泣く。
このまま、ずっと1人でいられたらいいのに。
明日、また、皆の前で作り笑いで過ごすのが耐えられない。
そして、今日もまた、涙の夜を過ごす………。