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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第4章 ピアノレッスン~シド~




~現実~





あれは、夢だ。

悪い夢を見たんだ。

あんな事が、現実であるわけがない―――。



何度も、そう自分に言い聞かせて。

忘れようとして、でも、忘れられなくて。

思い出しては、悔しさと悲しみと、怒りが沸いてくる。



―――あの日、別れ際に、



『ヤリたくなったら、いつでも呼べよ。可愛がってやる』



最低なシドの、最低な一言―――。



あれ以来、シドには会っていない。

もう、二度と会いたくなんかない―――。



音楽祭も間近だというのに、あの日以来、ピアノ室にも行っていない。

ピアノ室に入る勇気がない。

あの日の出来事が、鮮明に思い出されるだろうと予測がつくから。



ブルッ………。



小さく震える。

自分の両腕で自分の身体を抱える―――。



ポタ。



見開かれた目からは、また、涙がこぼれ落ちていく―――。





と。

コン、コン。

ノックの音が部屋に響く。

「マイン様、俺」

ユーリの声。

「………っ、どうぞ」

慌てて涙を拭いながら、ユーリと顔を合わせないように、ドレッサーの前に座って髪を梳かしだす。



………っ、泣いていたのを、知られたくない。



「ルイ様が今日、公務の後に寄りたいって。少しだけでも話ができたらって言ってるんだけど………」

「ごめん。今は、誰とも話したくない」

つい、即答してしまう。

「………そっ、か」



最近の私は、お城の皆から腫れ物扱いだ。

何があったのだろうと、噂されていると思うけど。

誰にも話すつもりはない。



―――話せない。







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