第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「やあ、美味しそうだね」
「でしょ。マインオススメの中華。豪華で美味しいよー」
アーサーは、さも自分で作ったかのように得意気だ。
そんなとこがカワイイな、なんてちょっと思ったりして。
「いただきます」
一口、海老チリを頬張ると、甘辛いソースにプリプリの海老の食感が絶妙で、思わず唸る。
「ん、美味しい~~」
親子丼にしても最高だったろうな。いつも両方美味しそうだし、実際、美味しいから迷うんだよね。
「マインは、美味しそうに食べるね。こないだ一緒に食事行けなかったのが、悔やまれるなあ」
ん?こないだ?一緒に食事?
アーサーの言わんとしている事が一瞬、理解できずに、顔を上げる。
あ。
音楽会の時のことを言ってるんだ。
『よかったら、俺達と一緒に食事に行こうよ』
音楽会の終わりに、誘われたんだよね。ルイと約束していたから、断っちゃったけど。
「まさか、ここでマインと再会するなんて思ってもいなかったからね。けれど、良かったよ。電話が来ないって、ずっとアーサーが落ち込んでたから。気の毒で見ていられなくてね」
「伯爵ー、そういう余計な情報は伝えなくていいから」
真顔で伯爵をたしなめている。
え、それって………本当に電話、待っててくれてたんだ。
なんだか、申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。