第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「あ、マイン、やっと来た。待ちくたびれたよー」
待ってましたとばかりに、満面の笑みを見せるアーサーに、思わず嬉しくなってしまう。
けど。
応接室に一歩足を踏み入れた瞬間、驚きで目を丸くする。
テーブルには、食堂でいつも目にする大きなお膳が置かれてあって、セバスチャンが料理の盛られたお皿を並べているところだった。
「ここで食べるってこと?なんで食堂に行かないの?」
「なんか、人多そうで、ゆっくり食べられない感じだったから、持ってきちゃった」
茶目っ気溢れる笑顔で首をすくめるアーサーに呆気に取られる。
「持って来ちゃったって………セバスチャン、わざわざごめんね」
「私は仕事ですから、お気になさらず」
そうは言っても。ジル教頭じゃないけど、ここまでするのって、ちょっと勝手過ぎる気がするよね?
三人分のお膳が用意できると、セバスチャンはワゴンを押して応接室を出て行った。
「伯爵~、準備できたよ。食べよ」
アーサーが学園長室のドアを開けて声をかける。
三人分なのは、伯爵の分か。ってことは、アーサー、伯爵、私の三人で食べるってことなんだよね。
………なんで、こんなことになったんだろう。
少し緊張気味に、伯爵を挟んでアーサーと向かい合わせに座る。