第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
~昼休み~
待ち合わせ場所が学園長室って、落ち着かないよぉ。
学園長室は、お説教部屋というか最後通告の場というか………とにかく、いいイメージがない。
4時間目が終わって、ほどなくして学園長室前に佇む。
―――入りづらい。でも、仕方ない。
よしっ!
スウッと息を吸って、控えめに、でもきちんと聞こえるようにノックをする。
コン、コン。
「どうぞ」
中から、伯爵の声が返ってきた。
「失礼します」
ゆっくりとドアを開け、学園長室へと入る。
正面のどっしりとした机でパソコンに向かっている伯爵以外、誰もいない。
てっきり、アーサーがいるものとばかり思っていたので、戸惑ってしまう。
「何か用かい?」
伯爵は、手を止めることなく聞き返す。
「あのぉ、アーサーは?」
「アーサーなら、隣りだよ」
横にあるドアを指差す。
そのドアの先は、応接室へと繋がっている。
「ありがとうございます」
仕事の邪魔しちゃったかなと気後れしながら、応接室へのドアを開ける。